ケジラミとは?
ケジラミは、Pthirus pubis(毛ジラミ)という寄生虫によって引き起こされる感染症です。
ケジラミは主に人間の陰毛に寄生し、血液を吸うことで生活します。ケジラミ感染は、痒みや皮膚の炎症を引き起こし、不快感を伴います。
この寄生虫は主に陰毛に寄生しますが、胸毛、腋毛、まつげ、眉毛などの体毛にも感染することがあります。
ケジラミの原因
ケジラミ感染の主な原因は、ケジラミに感染した人との密接な接触です。以下が一般的な感染経路です。
- 性的接触
ケジラミは主に性的接触を通じて伝播します。感染者との直接的な体毛の接触が感染の主な原因です。 - 間接的接触
ケジラミは、感染者が使用したタオル、衣類、寝具、ブラシなどを共有することでも伝播することがあります。ただし、このような間接的感染のリスクは性的接触に比べて低いとされています。
ケジラミの検査・診断
ケジラミ感染の診断は、臨床症状と寄生虫の確認によって行われます。
主な診断方法は以下の通りです。
- 臨床症状の確認
ケジラミ感染の主な症状は、感染部位の強い痒みです。痒みは、特に夜間に悪化することが多く、かきむしることによる皮膚の炎症や二次感染が生じることがあります。 - 視診
ケジラミとその卵(ニット)を確認するために、感染部位の体毛を注意深く観察します。ケジラミは小さく、灰色または茶色で、約1〜2ミリメートルの大きさです。卵は毛の根元に密着しており、小さくて白いカプセル状のものとして見えます。 - 検体採取と顕微鏡検査
必要に応じて、毛髪や皮膚からサンプルを採取し、顕微鏡でケジラミの存在を確認します。
ケジラミの治療方法
ケジラミ感染は、特定の治療薬を用いて比較的簡単に治療が可能です。
駆虫薬の使用
- 局所駆虫薬
ペルメトリンローションやクリーム、リン酸マラチオンローションなどの駆虫薬が一般的に使用されます。これらの薬剤は、感染部位に塗布してケジラミを殺します。通常は、1回の治療で効果が得られますが、必要に応じて再治療が行われることもあります。 - 経口薬
イベルメクチンなどの経口駆虫薬が使用されることもありますが、主に他の治療法が効果を示さない場合に用いられます。
衛生管理
ケジラミ感染の再発を防ぐために、使用した衣類、寝具、タオルなどは熱湯で洗濯し、乾燥させることが推奨されます。
また、洗濯が難しいアイテムは、数週間にわたり密閉して保管し、ケジラミの自然死を待つ方法もあります。
パートナーの治療
性感染症の一種であるため、性的パートナーも同時に治療を受けることが推奨されます。
再感染を防ぐためには、すべてのパートナーが検査と治療を受けることが重要です。
生活習慣の改善
感染を広げないために、治療中および治療後の一定期間は性的接触を避け、個人の衛生管理を徹底することが重要です。
ケジラミの予防と生活習慣の改善
ケジラミ感染の予防には、以下の対策が有効です。
- 安全な性行為
性感染症の予防策として、性的パートナーの健康状態の確認が推奨されます。 - 個人の衛生管理
定期的な入浴と体毛のケアが重要です。また、タオルや衣類を他人と共有しないことも感染予防に役立ちます。 - 定期的な検査
感染の早期発見と治療を目的として、性感染症のリスクがある場合は定期的に医療機関での検査を受けることが推奨されます。 - 治療中の衛生対策
治療中は、家庭内での感染拡大を防ぐため、衣類や寝具の適切な処理を行い、家族や同居者への感染リスクを減少させます。
ケジラミ感染は、適切な治療を受けることで簡単に治癒する感染症ですが、再感染を防ぐためには、予防策と個人の衛生管理が重要です。
性感染症に関する正しい知識を持ち、自身と他者の健康を守るための行動を取ることが大切です。
料金
日本の保険診療では、保険の種類により治療費の1割から3割を自己負担します。
ケジラミ感染の診断と治療にかかる一般的な費用の目安は以下の通りです。
治療費用
局所駆虫薬 (ペルメトリン、リン酸マラチオンなど) | 約1,000円〜3,000円 |
経口薬 (イベルメクチンなど) | 約1,500円〜4,000円 |
合計費用の目安
診察料、検査費用、治療費を含めて、ケジラミ感染の治療にかかる自己負担額は、約3,000円〜10,000円程度です。追加の検査や治療が必要な場合は、さらに費用がかかることがあります。