前立腺がんとは
前立腺がんは、前立腺の細胞が異常に増殖し、腫瘍を形成する病気です。前立腺は男性特有の器官で、膀胱の下に位置し、精液の一部を生成する役割を担っています。
前立腺がんは比較的ゆっくり進行することが多く、早期発見と適切な治療が行われれば、予後は良好です。しかし、進行すると骨やリンパ節に転移することがあり、治療が困難になることがあります。
前立腺がんの原因
前立腺がんの原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因がリスクを高めることが知られています。
- 年齢
前立腺がんは加齢に伴ってリスクが増加します。特に50歳以上の男性で発症率が高まります。 - 遺伝的要因
前立腺がんの家族歴がある場合、リスクが高くなります。特定の遺伝子変異(BRCA1やBRCA2など)もリスク増加に関連しています。 - 人種
アフリカ系アメリカ人は前立腺がんのリスクが高いとされています。一方、アジア人はリスクが比較的低いとされています。 - 食生活
高脂肪食や動物性脂肪の多い食事は前立腺がんのリスクを高める可能性があります。また、リコピン(トマトに含まれる成分)やビタミンDの摂取が予防に寄与する可能性が指摘されています。 - ホルモン
男性ホルモン(アンドロゲン)が前立腺がんの成長を促進することが知られています。
前立腺がんの検査・診断
前立腺がんの診断は、主に以下の方法で行われます。
当院では採血検査やMRIなどの画像検査を主に行っており、前立腺がんが強く疑われ生検が必要と判断した場合は専門の医療機関へ紹介しています。
- 前立腺特異抗原(PSA)検査
血液検査でPSAというタンパク質のレベルを測定します。PSA値が高いと前立腺がんのリスクが高まりますが、前立腺肥大や炎症でも上昇することがあります。 - 直腸診(DRE)
医師が指を直腸に挿入し、前立腺の異常を触診します。腫瘍や硬さの異常を確認するための簡便な方法です。 - 画像診断
磁気共鳴画像(MRI)やCTスキャン、骨シンチが行われ、がんの広がりや転移の有無を評価します。 - 前立腺生検
PSA値やDREで異常が認められた場合、超音波ガイド下で前立腺の組織サンプルを採取し、がん細胞の有無を確認します。
前立腺がんの治療方法
前立腺がんの治療は、がんの進行度、患者の年齢、全身状態などに基づいて選択されます。
主な治療法は以下の通りです。当院では手術療法後の経過観察、状態が安定している方のホルモン療法が治療可能です。
待機療法(アクティブサーベイランス)
がんが早期で、進行が遅い場合、定期的なPSA検査や生検で経過観察を行う方法です。症状が出たり、進行の兆候が見られた場合に治療を開始します。
手術療法
- 前立腺全摘除術
前立腺を完全に摘出する手術です。ロボット支援手術(ダヴィンチ、ヒノトリ)などが用いられることもあります。
放射線治療
- 外部放射線療法
体外から放射線を照射してがん細胞を破壊します。 - 内部放射線療法(小線源療法)
放射性物質を前立腺内に埋め込んで治療する方法です。
ホルモン療法
アンドロゲンの効果を抑制する薬剤(ビカルタミドなど)を用いる方法です。
主に進行がんや転移がある場合に使用されます。
化学療法
ホルモン療法が効かない場合や進行が進んだ場合に、抗がん剤を用いることがあります。
前立腺がんの予防と生活習慣の管理
前立腺がんの予防には、以下の対策が有効です。
- 健康的な食生活
野菜や果物を多く摂取し、動物性脂肪の摂取を控えることが推奨されます。また、トマトなどに含まれるリコピンの摂取が前立腺がん予防に寄与する可能性があります。 - 適度な運動
定期的な運動は、全身の健康維持だけでなく、前立腺がんのリスクを低減する可能性があります。 - 定期的な検診
50歳以上の男性、特に前立腺がんの家族歴がある人は、定期的なPSA検査と直腸診を受けることが推奨されます。
前立腺がんは、早期発見と適切な治療により、良好な予後が期待できる病気です。
自身の健康に対する意識を高め、定期的な検査と健康管理を行うことが重要です。
料金
日本の保険診療では、保険の種類により治療費の1割から3割を自己負担します。
当院では主に前立腺癌のPSA採血によるスクリーニングを行っていますが、その場合の初診における保険診療費用は、以下が一般的な料金の目安です。
診察料、検査料含めて | 2,000~3,500円程度 |
ただし、行う検査や治療の種類によってはさらに変動する可能性があります。
また薬剤費用は別途かかります。