梅毒とは
梅毒は、スピロヘータと呼ばれる螺旋状の細菌、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)によって引き起こされる性感染症(STI)です。
感染が進行するにつれて、梅毒は身体の複数の臓器や系統に影響を及ぼし、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
梅毒の症状は段階的に変化し、初期段階では症状が軽いか見逃されがちなため、適切な診断と治療が重要です。
梅毒の原因
梅毒は、主に性的接触を通じて感染しますが、母子感染(胎児感染)や血液を介しても伝播することがあります。感染経路の詳細は以下の通りです。
- 性的接触
梅毒は感染者との膣、肛門、または口腔を介した性行為によって最も一般的に広がります。特に、皮膚や粘膜の微小な傷口を通じて菌が侵入します。 - 母子感染
梅毒は妊娠中の母親から胎盤を通して胎児に感染することがあります。この場合、先天梅毒として新生児に深刻な健康問題を引き起こすことがあります。 - 血液感染
非常に稀ではありますが、感染した血液や血液製剤を介して梅毒が伝播することがあります。
梅毒の検査・診断
梅毒の診断は、症状の観察と血液検査に基づいて行われます。主な診断方法は以下の通りです。
- 症状の確認
梅毒の症状は、感染の段階(初期、二期、三期、四期、潜伏期)によって異なります。- 初期梅毒(第一期):感染後3週間以内に無痛性のしこり(初期硬結)や硬結部位を中心に潰瘍(硬性下疳)が発生し、通常は陰部、肛門、口唇などで見られます。症状は2~3週間程度経過すると消失しますが、梅毒の感染は治療をしない限り続いていきます。
- 二期梅毒:概ね感染後3か月以上経過したところで全身の皮膚や粘膜に広範な発疹が現れ、リンパ節の腫れ、全身の倦怠感、発熱などを伴います。通常はこの段階で発見され治療されますが、未治療のままだと三期梅毒に移行します。
- 三期梅毒:未治療のまま3~5年程度経過すると、皮膚だけでなく筋肉や骨、その他腎臓や肝臓などの全身の臓器にしこりやゴム腫(ゴムのように柔らかい腫瘤)ができ、臓器機能異常が見られます。
- 四期梅毒:感染から10年以上経過すると心臓血管などの大血管系や神経系に深刻な障害を引き起こし最終的には死に至ります。
- 潜伏期:それぞれの期間の間の症状がない期間であり、血液検査でのみ感染が確認できます。
- 血液検査
梅毒の診断には、以下の血液検査が用いられます。- 抗体定性検査:RPR(Rapid Plasma Reagin)法とTPHA(Treponema Pallidum Hemagglutination Assay)法を用いるのが一般的で、陽性もしくは陰性で判定するためスクリーニング検査に適しています。
- 抗体定量検査:上記の抗体量を数値化したもので、スクリーニング検査で陽性を指摘された方、もしくは以前梅毒の治療歴がある方で再度感染が疑われる方に行っています。
- 追加検査
神経梅毒が疑われる場合は、脳脊髄液検査(髄液検査)を行い、梅毒菌の検出を行います(当院では行っていません)。
梅毒の治療方法
梅毒は、早期の診断と治療が重要です。治療には抗生物質が用いられ、通常はペニシリン系の抗生物質が第一選択となります。
抗生物質治療
- ペニシリン
アモキシシリンの経口内服もしくは筋肉注射でベンザチンペニシリンを投与します。初期および二期梅毒では内服の場合1か月内服、注射の場合1回の投与が標準的ですが、三期や四期梅毒の場合はより長期間、複数回の投与が必要です。 - ペニシリンアレルギーの場合
ドキシサイクリン、ミノサイクリンなどが代替薬として用いられますが、ペニシリンに対する脱感作療法が推奨されることもあります。
治療後のフォローアップ
治療後は、血液検査で治療効果を確認し、必要に応じて追加の治療を行います。
また、性的パートナーも検査と治療を受けることが重要です。
合併症の治療
梅毒の進行に伴い、心血管系や神経系に障害が出ることがあるため、これらの合併症がみられた場合は専門的な治療が必要です。
梅毒の予防
梅毒の予防には以下の対策が有効です。
安全な性行為
コンドームの使用は梅毒感染を防ぐ最も効果的な方法の一つです。
定期的な検査
性的に活発な人々は、定期的な性感染症の検査を受けることが推奨されます。
特に複数の性パートナーがいる場合や梅毒感染のリスクが高い場合は重要です。
性的パートナーの検査と治療
感染が確認された場合、すべての性的パートナーが検査と治療を受けることで再感染を防ぐことができます。
梅毒は、適切な治療を受けることで完全に治癒する性感染症です。
しかし、治療を怠ると深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、早期の診断と治療が不可欠です。性感染症に関する教育と予防策の実践が、自身と他者の健康を守る鍵となります。
料金
日本の保険診療では、保険の種類により治療費の1割から3割を自己負担します。
当院での前立腺炎の初診における保険診療費用は、検査、診察、処方される薬剤によって異なりますが、以下は一般的な料金の目安です。
検査のみの場合
診察料、検査料含めて | 1,500~2,000円程度 |
検査および治療を行う場合
診察料、検査料、処方箋料や注射料金含めて | 2,000~5,000円程度 |
ただし、行う検査の種類によってはさらに変動する可能性があります。また薬剤費用は別途かかります。